同じ内容を説明しているはずなのに、分かりやすい先生もいれば、分かりにくい先生もいます。私自身も、塾や学校で多くの先生から教わりましたが、分かりやすい先生ばかりではありませんでした。「わかりやすさ」とはどのように決まるのか?ということですが、一つは「身近さ」なのかも知れないと考えています。自分にとって身近ではない、つまり他人事のような感覚だと、イメージがしにくく、説明が分かりにくくなります。

例えば、英語では、未来の話をするときに「現在時制」を使うことがあります。

The first train leaves at 6 tomorrow.
始発電車は、明日、6時に出発します。

この文章は未来(明日)の話ですが、現在形を使っています。

と、聞いても、分かりにくくはないかも知れませんが、ピンとは来ないかも知れません。

でも、日本を最初に考えてみましょう。

(1)私は、毎日、ピアノを弾きます
(2)私は、昨日、ピアノを弾きました

(1)の文章は現在形です。日本語では、動詞の語尾に「た」を付けると過去形になります。(2)の文章は過去形です。「弾きます」という動詞の語尾に「た」を付けて、「弾きました」にして過去形にしたわけです。これが英語だと、「た」の代わりに「ed」を付けます。

(1)I play the piano every day.
(2)I played the piano yesterday.

さて、未来時制を考えます。

(1)私は、毎日、ピアノを弾きます
(2)私は、明日、ピアノを弾きます

どうですか?(1)は現在形、(2)は未来形です。動詞の形は、現在形も未来形も同じです。日本語でも、実は、現在形が未来を表します。英語が特殊と言うことではありません。

過去形は、「た(ed)」を付けるという、明確なルールが存在します。しかし、未来形は、現在形と形を共有しており、過去形のような明確なルールは存在しません。そのため、未来の表し方は、結構、曖昧なのです。高校の英語では、未来であっても、むしろ「will」は使わないシチュエーションも出てきます。未来の文章は、時制の表し方に特に注意が必要です。

英語にしても数学にしても他の科目にしても、もっと身近に考えてみましょう。英語でも、日本語と同じ考え方をすることが多くあり、実は知らない間に日本で使っているルールもあります。こういったことは、まずは日本語から考えていくと、自然と頭に入ってきて、納得できるようになります。

個別指導塾のエール学院
学院長 小澤典生