「大学の二極化」という言葉を聞いたことがありますか?難しい大学はますます難しくなり、簡単な大学はますます簡単になる、ということですね。

事の発端は、入学定員の厳格化です。大学は、それぞれ入学定員を定めています。人気がある大学は受験生が多く集まるため、実際には、入学定員よりも多くの学生が入学していました。国としても、入学定員の1.2倍までは大目に見ていたのです。しかし、大規模な私立大学で、これを1.1倍にしてしまったわけです。例えば、慶應義塾大学の入学定員は、6405人です。この1.2倍は7686人、1.1倍は7045人です。つまり、計算上では、今までなら合格していた641人が不合格になるということです。有名私立大学はだいたいが大規模大学に当てはまりますので、全大学を合計すれば、結構なインパクトです。実際に、ここ数年、今までなら合格する学力を持った生徒が、残念な結果になってしまったことが多くありました。これが、有名大学の難化です。

有名大学が難化すると、今までは有名大学を受験していた生徒が、大学のランクを下げるようになります。今年度はこの傾向が顕著で、早慶上智、MARCH等の難関大学が、志願者を減らしています。一方で、中堅大学の志願者数は、昨年度とほぼ変わりません。つまり、難関大学を敬遠し、中堅大学を選ぶ受験生が増えたことになります。この結果、中堅大学のレベルも上昇傾向にあります。

一方で、「大学全入時代」を迎え、人気の無い大学は、依然として人気が無いままです。特に地方の大学は、受験生の取り合いが続いています。

難関大学の難化により、中堅大学やその一つ下の大学群も難化し、一方で人気が無い大学は人気が無いままというのが、大学の二極化です。

来年度は、大学入試が大きく変わります。変化があるとチャレンジを控えようという心理が働くため、安全志向が強くなります。こうなると、中堅私大や地方国公立大の人気が高まります。今後、ますます大学二極化が進むのではないでしょうか。受験を迎えたときに慌てないためにも、受験勉強のスタートを少しはやめるようにしましょう。

個別指導塾のエール学院
学院長 小澤典生